先日、天気予報の余談で気象予報士の方が「行き合い(ゆきあい)の空」という言葉を紹介していました。
去りゆく季節と、新しくやってくる季節が、空の上ですれ違い、混ざり合っている様子を表すのだそうです。俳句では「夏の終わりから秋の始まり」を指す季語でもあります。
すてきな表現だなと思っていたら、その日のうちに、ちょうどそんな空を見かけました。
朝の空に感じた、二つの季節
その日の朝は、肌に触れる風が少しだけひんやりとしていました。
「少し涼しくなったかな」と思ったものの、駐輪場に着くとセミたちは相変わらず元気よく大合唱しています。
自転車を走らせながらふと見上げた高い空には、サラサラとしたきれいな「すじ雲」。
なんとなく秋の気配を感じながら、視界がひらけた場所に出たとき、少し不思議な景色が目に入りました。
頭上に広がっていたのは、もくもくと力強くそびえ立つ、夏の「入道雲」です。
ひとつの空に同居する景色
高い空には、澄んだ秋のすじ雲。
低い空には、力強い夏の入道雲。
ひとつの空の中に、二つの季節が同時に浮かんでいました。
「これが、行き合いの空なんだ」と、少し得した気分になりました。
季節のバトンタッチは一瞬
けれど、季節のバトンタッチは一瞬のようです。
夕方の帰り道には、肌を包み込むもあっとした夏の熱気が戻り、空は一面の曇り空に。
朝感じた秋の気配は、またどこか遠くへ隠れてしまっていました。
夏の終わりは、一日のうちでも空の表情が目まぐるしく変わります。
ついつい上ばかり気になってしまいますが、自転車のよそ見運転は禁物。
今の私の密かな楽しみは、赤信号の短い時間に、サッと空を見上げて「今の季節の割合」を確かめることです。
ふとした信号待ちの時間、少し上を向いてみると、ちょうど夏と秋がすれ違っている最中かもしれません。



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