雨の音と、秋を待つ口笛

ひとりごと

雨の音と、秋を待つ口笛

パチパチと傘が雨をはじく音が、やけにクリアに響く午後でした。
遠くからカラスの鳴き声が聞こえる、静かな雨の日です。

私はといえば、雨だからといってそこまで気分が落ち込んでいるわけでもありませんでした。むしろ、苦手な夏がようやく去ろうとしていて、大好きな秋がやってくるのを、わくわくと心待ちにしています。

すれ違いざまのメロディ

そんな中、すれ違いざまに「♪〜」と、軽やかな口笛の音が耳に届きました。

何の曲かは分かりませんでしたが、その響きがとても心地よく、ただでさえ悪くなかった気分が、一段軽くなるのを感じました。

雨が降っていても、風が強くても、そんなことは気にとめない様子で颯爽(さっそう)と歩いていく。ご機嫌なのか、ただの癖なのか。
背の高いすらっとした人影は、さっと私の横を通り過ぎ、あっという間に小さくなっていきました。

天気に振り回されず、自分の歩幅で飄々と歩いていける、そんな姿勢がとても素敵だなと思ったのです。

傘の中の小さな練習

その後ろ姿を見送っていたら、なんだか私も真似をしたくなってしまいました。
自分の傘に隠れて、こっそり口笛の練習を開始です。

……ところが、上手く音が鳴りません。
しかも、頭に思い浮かんだメロディといえば、簡単な童謡ばかり。傘の中でスカスカと空気が抜ける音と、たどたどしい童謡が響く、なんとも締まらない練習風景になってしまいました。

あの人のように格好よく吹きこなせるようになるには、まだまだ練習が必要なようです。

誰かのご機嫌をお裾分け

誰かの小さなご機嫌が、お裾分けのように自分を温かい気持ちにさせてくれました。
これから訪れる大好きな秋の街を、私もいつか、あんな風に気負わず歩いてみたいと思います。

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